契約書、とりあえず「締結すればOK」と思ってませんか?

契約書の重要性、そんなのわかっているよ、という方は多いと思います。

ただ、実際に〝 適切な 〟契約書を締結しているかと聞かれると、そうではないケースが圧倒的多数です。

一般的に、契約に関する中小企業の対応は、以下のとおりだと思います。

① 口頭での合意のみ
② メールやSNSでのやり取りで内容確認
③ 相手方の提示する契約書フォームに そのままサイン
④ 自社の要求も反映させるべく要請(お願いベース)
⑤ 契約交渉を行い、その結果を書面に反映

中小企業の大半が①〜③の対応で済ませてしまっているのが現実。
その理由の筆頭は

「取引先との関係を壊したくない」
「(取引先との良好な関係から)信頼できる企業だから、問題ない。」

というもの。


これ、危険すぎます。特に①の対応。

まだ、②又は③の対応は、①よりマシですが、不十分です。
③の対応であっても、基本的に、相手方の提示する契約書フォームは、相手方に有利な内容になっていますので。盲信してはダメなのです。


そもそも、なぜ、契約書が重要なのか?

「それって、いざという時のために、内容を明確にしておくためでしょ。」
(証拠化)

そう、そのとおり。

ただ、その「内容を明確にしておく」ことの意味、その意識がどのようなものかということが問題。

契約書を締結する際、考えられる意識としては、

(1) 契約の存在そのものを明確にしておきたい。
(何もないと、ちゃんと取引してもらえるか不安だから)

(2) 契約の存在だけではなく、基本的な内容を明確にしておきたい。

(3) こちらの要求(お願い)を受け入れてもらえたことを明確にしておきたい。

(4) 自分たちに有利な取引条件も盛り込みたい。

(5) トラブルが起きた場合であっても、あらかじめ有利なポジションを確保できるようにしておきたい。

というものがあります。

(1)は、大企業相手に取引をする中小企業にありがちな意識です。
ほとんどの中小企業が契約書を締結する際に意識していることは、(2)だと思います。

そして、契約書を締結することに慣れている中小企業であっても、多くは(3)の意識であり、きちんと対応しているという場合であっても、(4)の意識までで契約書を締結しているのではないかと思います。

通常、リスクマネジメントの観点から契約書を締結するという場合において、弁護士が一般的にアドバイスするときであっても、(4)の観点から契約書を作成またはチェックすることが多いでしょうから、(4)まで意識することができていれば大丈夫なように思えます。

しかし、

ビジネス法務/企業法務を専門とするビジネスローヤーからすると不十分。足りません。

取引関係の存在や契約条件(自社に有利なものも含めて)を明確化しておけば、トラブルを防げるかといえば、そのようなことはなく、リスクを完全に回避することなど不可能。

そのため、どのような契約内容であったとしても、『リスクは残らざるを得ない』ことを前提に、

そのリスクが顕在化したときに

〝自分たちが どのようなポジションに立っていられるか 〟
〝より有利なカタチで問題解決するためには、あらかじめどうしておくべきか〟

ということを考えておくべきなのです。

そう、(5)まで意識して、契約書を戦略的に作成すべきなのです。


ここは、経験を積んだビジネスローヤーのアドバイスを受けないと対応できないところだと思いますが、

「中小企業だから、未だそこまで考える必要はない」と考えるのは 誤解です。

むしろ、

『 中小企業だからこそ、大企業の好きなようにされてしまわないように、強かに対応しておく必要がある 』

のです。

また、

『 中小企業であっても、晒されているリスクは、大企業と同じ。 』

であることを肝に銘じましょう。


「まだまだ中小企業だから、、」とか、
「そこまで考えるレベルではないから、、」

と卑下するのではなく、

契約書に対する意識を進化させ、
大企業並みの意識をもってビジネスを発展させましょう。

“稼ぐ”ための『リスクマネジメント』とは?

『リスクマネジメント』というと、「何か問題が生じてからの対処方法をあらかじめ考えておく」というイメージがある方は多いと思います。

しかし、『リスクマネジメント』は、何かあってからの対処方法の問題としてではなく、何かが生じる前に『如何にリスクをコントロール可能な状態にしておくか』という問題として捉えるべきものです。

そして、「稼ぐ」ことよりも優先順位が低いかというと、そうではありません。

むしろ、売上を上げて、しっかりと稼ぐ(利益を出す)ためには、『リスクマネジメント』はなくてはならないものなのです。

そもそも、『リスクマネジメント』とは、どういう位置づけものか。

リスクマネジメントの定義に確定的なものはありませんが、一般的に『 企業価値を高めるための活動 』であると理解されています。

企業価値を高めるためには、売上を増やして利益を出す(稼ぐ)ことが必要ですが、そのための活動として、『リスクマネジメント』が位置づけられているのです。

ただ、そうはいっても、『リスクマネジメント』というと、具体的に何をすればよいのか分からないという人が多く、「何かあったら、お願いします。」という経営者がほとんど。

ここでリスクマネジメントの体系を整理すると、以下のとおり整理することができます。

『リスクマネジメント』(広義)といっても、そこには、

① 潜在的なリスクに対応する『リスクマネジメント』(狭義)と、
② 顕在化したリスクに対応する『クライシス / イシューマネジメント』

の2つがあります。

一般的に『リスクマネジメント』(広義)といって思い浮かぶのは、後者の顕在化リスクに対応する『クライシス / イシューマネジメント』ではないでしょうか。

これは、簡単に言ってしまえば、リスクが顕在化して発生してしまった危難や問題に対して上手く対応し、企業の損失や損害を、どれだけ小さくすることができるかということです。

しかし、事後対応の場合、

一般的には、そこに費やす時間も、労力も、コスト・費用も、事前対応よりも膨大なものとなってしまい、時には、コスト・パフォーマンスに見合わないけど、対応せざるを得ないといった事態も生じます。

そのような事態とならないようにするために、リスクが潜在化しているときから上手く対応し、後から大きな損失・損害を被らないように対処しておく『リスクマネジメント』(狭義)が重要となってくるのです。

いくらお金を稼いでも、財布に穴が空いていたり、財布が壊れかかっていたりしていて、稼いだお金が流出してしまっては意味がないですし、

流出しないように応急措置を講じたり、流出してしまったお金を回収しようと思ったりしても、それを行うのは、かなり大変です。

どんなに大金を稼いだとしても、それを流出させずに、しっかりと懐に確保しておくことができなければ、本当の意味で「稼いだ」ということにはなりません。

稼ぐための『リスクマネジメント』とは、ビジネスから得られた利益を確保して、本当の意味で稼いだという状態にすることです。

さらに、先を見越して戦略的にリスクマネジメント(狭義)を行うことで、より利益を得られるビジネススキームを構築することができ、稼ぎ方も変わってくることになります。
この点は、最初から取り組まないと、後から変更することが難しい場合もあります。

『リスクマネジメント』(狭義)、侮れません。
売上を上げて、稼いで、ビジネスを大きくするためには、必要不可欠なものなのです。